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    「若い人材の確保について」


    株式会社タカダ
     取締役統括部長 藤 本  勉

      当社の補償業務に携わる社員の平均年齢は50歳を超えており、高齢化が大きな問題となっているほか、時間外の労働時間を減らすには、若い人材の確保が必要となります。
     しかし、若い人材を雇用しようとしても、人材の確保が非常に困難な状況にあって、各社とも同じ問題を抱えておられるのではないでしょうか。
     この様な情勢の中で、人事について全くの素人の私ですが、平成29年初めから人材募集・面接・採用に至るまで担当することになりました。
     そこで、現在の求人事情を調べてみると、思っていた以上に深刻な状況であることが分かります。

     大阪労働局の統計資料によると、近畿2府4県のハローワークの有効求人数を有効求職者数で除した"有効求人倍率"は、平成26年度1.03、平成27年度1.15、平成28年度1.31、平成29年度は11月までの平均値が1.46と、ここ数年は人材不足が年々顕著な値となって推移しています。
     併せて、求職者全体に対して55歳以上の中高齢者は約54%を占めている状況から、若い人材の求職者数は非常に少ないと言えます。
     更に、大阪府のみに限定した職業別データですが、平成29年11月時点の建築・土木技術者等の有効求人数4,211人に対して有効求職者数は673人のみで、有効求人倍率は6.26倍にもなっており、平均値の1.46倍を大きく上回っていることから、職種の中でも建築・土木関係の技術者等の人材不足は極めて深刻で、若い人材の確保は非常に困難な状況と言えます。
     ここまで建築・土木技術者等の求職者が少なく、求人倍率が高くなっていると、過去に求人をおこなっても全く応募が無かったことも、当然のことと理解出来ます。
     求人倍率が高い状況にあって、若い人材の建築・土木関係の技術者を雇用するには、月給など待遇面を優遇する必要がありますが、大阪府内の平成29年11月時点の建築・土木技術者等の求人募集内容における月給は400,249円から250,272円であり、全ての職種における求人募集内容の平均値の月給280,632円から206,346円と比較しても、建築関係の求人条件は著しく好待遇となっていることが分かります。
     上限に近い待遇で若い人材を募集しようとしても、社内で勤めている社員の給与との整合性を欠くことになり、高額な月給を提示して求人募集することも出来ないのが実情と言えます。

     人材不足に対応する一つの対策として、55歳以上の人材を雇用することも検討出来ますが、建築士等の資格を取得して他分野で活躍されてきた技術者を採用しても、補償業務管理士の資格を取得するまで実質4年間の業務経歴が必要であることを考慮すると、補償コンサルタントとして業務の中心になって働ける年数が限られてくるため、求職者の今後の人生を考えると採用には消極的になってしまいます。

     過去の有効求人倍率の推移として、平成14年の0.45から上昇を続け、平成17年には1.00に転じ、平成19年に1.26まで上昇したものの、平成20年9月のリーマンショック前に下降に転じて、平成21年には0.51まで下降し、その後は現在に至るまで緩やかに上昇を続けています。
     現在でも有効求人倍率は上昇を続けていますが、過去の推移として上昇と下降を繰り返していることから、いずれは下降に転じるものと考え、しばらくは現在の社員のみで業務を履行することも一つの手段と言えます。
     求人の手段として、すべての職種の有効求人倍率が1.00を上回っているかというと、そうでも無く、大阪府の職業別データの平成29年11月の資料において、一般事務員では有効求人数7,458人に対し、有効求職者数は21,826人と、有効求人倍率は0.34倍と買い手市場となっています。
     一般事務員であれば有効求人倍率が低いために、若い人材の雇用につながる可能性は高いと判断出来るため、技術職と一般事務員を同時募集し、応募者の中から補償業務や技術職に興味がありそうな人材を見つけて、基本から指導するのも一つの方法と考えます。

     実際に求人広告等を掲載しようとした場合には、補償コンサルタントという仕事内容を、どの様に説明をすれば興味を持ってもらえて、応募者が集まるかと言うことも重要です。
     補償コンサルタントという職種の認知度は、まだまだ低く、補償とか、コンサルタントという言葉を並べても、「経験が生かせない」、「仕事が難しそう」、「責任が重そう」という印象を持ったという応募者の意見がありました。
     官公庁から受託し、公共事業に伴い建築物の数量や内訳など工事費の積算をおこなう仕事です。と言った方が、なじみやすいとも言えます。
     また、求人広告の内容として、残業月20時間、年間休日120日、アットホームな職場、親切丁寧に指導しますなど、仕事が楽で、誰でも歓迎する様なキーワードを並べるのも、信用が出来ない会社の求人広告として、不信感を与えてしまう場合があります。
     求人広告の待遇欄には、実際の社員の年収例、平均勤続年数、平均残業時間、土日出勤あり、有資格者数など、統計的な値を忠実に記載した方が、求人広告の信ぴょう性が高くなるのでないでしょうか。

     辛うじて面接まで進めた場合に、応募者を評価する必要がありますが、求人倍率が高い現状では応募者も就職する会社を評価するため、在籍していた会社より待遇面で優遇されること、仕事に対する生き甲斐や達成感が得られる職場であることなど、会社の優位性を理解してもらわない限り、雇用には結びつかない場合が多々あります。
     採用通知を出しても断られる日々が続いていますが、若い人材の確保に努め、補償コンサルタント業界全体の人材不足の状況を打破する勢いで頑張っていきたいと考えます。