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    「東日本大震災の対応と今後」

      

    (一社)日本補償コンサルタント協会 
    東北支部長 賢木 新悦 氏


     ご紹介いただきました、東北支部の賢木でございます。
     最初に昨年は近畿支部さんから貴重かつ高額な義援金を頂きました。心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
     今回の講演は、川畑支部長から要請がございました。補償コンの講演は、あまり多く行った事がなく躊躇したのですが、なにせ東北支部は近畿支部さんから大変お世話になっているものですからお引き受けいたしました。只、皆さんの期待に応えられるかどうかわかりませんがお付き合いをお願いしたいと思います。
     先程、花火のお話が出ましたけど、よく花火関係者に間違えられます。もちろん本職は補償コンです。どうして仕事以外にそんなに夢中になれるかと言いますと、私の住む秋田県大曲は100 年の歴史があり全国の花火師が技を競い日本一を決める全国花火競技会大会がある場所であります。若い頃から携わってきました花火には中小企業の経営と共通する部分があります。日本一を目指す花火師さんと地域の花火を日本一にすることの夢に挑戦することの大切さを学ぶ事ができます。それが本当に楽しいのです。
     さて、4 月25 日から5 月1 日まで地中海のマルタ島に行ってまいりました。
     国際花火シンポジュームという会議です。2 年に一度世界の花火関係者が一堂に会するもので世界の状況を把握し、大曲が日本のトップから世界のトップになるには何が必要かを学ぶための参加でした。
     さて、花火はこのくらいとして今日の本題に移ります。
     昨年の3.11 は近畿の地域も大変だったと思いますが秋田も凄かったですね。
     宮城県は5 メートル地盤が移動しましたが、秋田は1 メートル動きました。木造住宅の中に居た方は皆さんが崩壊すると覚悟したくらい揺れましたね。私も生まれてから一番大きな地震でした。運よく日本海側は2 日間の停電と断水で直接的な被害をあまり受けませんでした。しかし、間接的な被害は多かったです。特に観光業ですが地震直後は全くお客さんが来ず観光ホテルが閉鎖、倒産する事態になりました。福島の放射能は大変でした。
     秋田に首都圏から来るのは新幹線で福島を通るのですが、お客さんには相当抵抗があったようです。
     シーズン後半に回復し観光客が戻りつつあったのも束の間、残念ながら秋田では癌治療で有名な玉川温泉で雪崩があり死亡事故がありました。またしても観光客減がおきてしまい秋田県の観光客は前年比で40%減でした。
     それでは震災ですが最初に津波被害を受けた三陸の瓦礫処理の問題をお話いたします。皆さんの中にはご覧になった方もいらっしゃると思いますが、膨大な量で半端ではないですよね。処理するには隣接の県市町村を始め全国の処理施設の協力が必要ですが、今のところ放射能に対するアレルギーが強く難しい状況です。行政の説明会では反対意見が多く特に避難された方々の拒否反応は強いです。先日秋田県に俳優の方が主婦の方々を引き連れて県庁や市役所に瓦礫引き受けにヒステリックに反対をしていましたけど、震災で困っている人々の事を考えると同じ日本人として悲しく感じました。

     震災地でも処理施設を建設、稼働して頑張っていますが、あの瓦礫の山を見ますと復興どころか復旧も道半ばです。
     さて、今回の震災を受けた方々の多くは中小企業の方々です。会社、自宅が被害に遭った経営者が多くいます。最初はこの震災に立ち向かい頑張ろうと一生懸命だった経営者が時間の経つにつれ悲観的になり悲しい選釈をしてしまう方々が毎月いることは本当に残念です。
     震災後、東北被災地を見ましたが青森県の八戸市から南下すると津波はラインだと感じます。線1 本の右側が天国、左は地獄に見えます。同じ地域でも線で分かれ仮設住宅に入り厳しい生活を余儀なくされています。さらに南下し福島県では放射能の影響もあり被害のラインが見えない状況になります。同じ東北人として福島県の人々が見えない不安と向き合っている姿に胸が痛みます。
      東北支部の被害状況ですが、全壊が7会員、半壊が6 会員、一部損傷が1 会員の合計14 会員です。残念ながら1 会員の社員の方が1 名お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。本部、近畿支部さんを始め全国から頂いた義援金と東北支部の基金取り崩し金1300 万円と合わせた総額2000 万円の予算で被害会員への見舞金と東北の被害地の自冶体に義援金を配付致しました。各市町村に出向いた際には、補償コンの会員が日頃お世話になっていることに感謝し、この非常時に補償コンの役割を果たし協力したいと述べてきました。
     さて、ここから国土交通省東北整備局からお借りした震災時のDVDをご覧いただきます。

    ( 映像)

     ご覧いただきましたが、生々しい映像で津波の凄まじさがわかりますよね。
     国土交通省が災害対策室をすぐ立ち上げ、防災へリ「みちのく号」を仙台空港から飛ばし被災状
    況を把握したのがこの映像です。今回は徳山局長がリーダーシップを発揮し素早く対応しました。救援ルートの確保のため内陸部の国道から「くしの歯作戦」を計画し発動しました。啓開は津波が運んできた瓦礫をかき分け、道を開いていくわけですが犠牲になったご遺体が含まれているわけですので、慎重に進めなければならない作業でした。後で、携わった方のお話を聞きますと3 日間作業いたしますと1ケ月位毎日その夢を見るそうで、物凄いストレスがかかるとおっしゃっていました。職員はじめ、地元建設業界の方々は不眠不休でその任にあたって頂いた事は大変だったと思います。
     被災地では、まだ1500 人の方々が行方不明です。帰りを待つご家族の事を考えると胸が痛みます。ご冥福をお祈りいたします。
     これからは震災時から東北支部がどのような動きをしたのかお知らせいたします。
    2005 年に東北地方整備局と災害協定を結んでいまして本当によかったと思っています。

     震災後、私の携帯電話に用地部から連絡が入りました。出動要請と業務停止命令です。出動命令は河川の堤防崩壊と道路崩壊に伴う作業です。岩手、宮城、福島県部会長に連絡し素早く対応して頂きました。また、復旧、復興に対する補償問題に対する検討ですが用地調査については、地殻変動により基準点を移動している場合の処理方法。建物の補償については、被災した建物の建物としての効用の有無の判断について。営業補償については、得意先喪失補償の震災の影響による売上高の補正等についてです。整備局の委員会に対して支部としてワーキンググループとして参加致しました。
     さて、震災関連事業についてですが本部が受注し宮城県部会が作業、管理した仙台市の損壊家屋解体の撤去作業は、行政のマンパワー不足に代わり実施したものです。当初6000 件でしたが10,000 件に増え現在作業中です。
     環境庁の除染等の処理に必要な土地等の関係人の調査業務は北海道支部から近畿支部までの方々にお手伝いを頂いております。初めての業務で戸惑いながら対応しております。
     東電関係の財物-( 土地、建物等)の賠償に関する相談等対応業務の補助業務ですが各支部からの有資格者が業務についておられます。
     通常の用地業務ですが、三陸用地調査等業務が震災道路として発注されています。148 キロ、30 工区を東北の協会員が受注しています。今回の業務の特徴は補償説明が入っています。プロ集団、コンサルタントとして業界の役割を復興のため全力で果たさなければと思っています。この路線は事前に補償アセスメントも発注されています。
     次にPPP です。これは復興事業の促進を図るため、初めて導入するものです。川上業務を対象に官民がパートナーを組み、官民双方の技術・経験を活かしながら効率的なマネジメントを行うものです。土木関係コンサルタント、補償関係コンサルタントの参加資格要件があり今回は10 ヶ所が発注されました。それぞれの専門集団ですので、用地もレベルアップして期待に応えていく必要があります。今後、発注機会が増えていくかもしれません。それから、吉田昭夫会長が力を入れているのが県市町村を対象とした「岩手型用地補償総合技術業務です。震災の需要が増えた事と地方自冶体の職員削減が続く現状であり補償コンとしてトータルで用地取得に協力する体制を整える目的です。隣の被災地の宮城県、福島県でも考えなくてはいけない問題です。
    資料に復興構想会議の中で「復興宣言」が記載してあります。災害に強い交通網ですが、近年、財政赤字もあり費用対効果が先行してきました。しかし今回の震災で国民の安全・安心を守る点でリダンダンシーの重要性が認識されました。高速道路もつながっていなければ意味がありません。このような視点からの社会資本整備を期待します。
     さて、最後に昨年世界遺産に登録された平泉の中尊寺貫主の山田氏からお話を聞く機会がございました。一つは「人は一人では生きられない」そしてもう一つは「地球は生きている」です。プレート上に住んでいる日本では災害は避けてとおれません。コンクリートから人への言葉がありましたがコンクリートも大事です。社会資本整備に携わる私達は国民の生命財産を守る公共事業の必要性を正々堂々と声をあげていかなければならないと思います。
     ご清聴ありがとうございました。


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